では、ごいっしょに成績について考えてみましょう。まず、下の会話をごらん下さい。中学生とお母さんの普段の会話です。
子ども 「この間の期末テストの英語、70点だったよ。」
母 親 「えっ、もうちょっと取れたんじゃないの。」
子ども 「でも、ぼくテスト前は遅くまで勉強したし、一生懸命頑張ったんだよ。」
母 親 「90点取った人もいたんでしょ。」
子ども 「よく分からない。あっ、友だちに2人40点がいたなあ。」
母 親 「そんなことはいいから。さっき○○ちゃんのお母さんに会って、○○ちゃんの英語、93点だったって言ってたわよ。」
子ども 「ふーん。でも、できていない人たくさんいたのになあ。」
母 親 「人のことは言わないの。あなただってやればもっといい点が取れるはずよ。それにね、テストで良い成績取っておかないと、これから困ることになるのよ。」
子ども 「分かったよ。(でもなんか、すっきりしないなあ…)」
日常よくある家庭での会話です。何も不自然なところはなさそうです。それでも、「成績」という言葉をちょっと意識して聞いてみると、いくつもキーワードになる言葉が出てきます。お読みになって、みなさんは何かキーワードと思われる言葉があったでしょうか?
(当館が捉えたキーワードは下に記してあります。)
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分類してみると、キーワードは次の4つに分けられます。
@:【英語、70点】(こども)・【もうちょっと取れたんじゃ…】(母親)
→どちらも、このこどもさん(本人)に関することであることがお分かりいただけるでしょう。そして、多くの方が最も関心を持っていらっしゃることです。詳しいことを次ページ「何点なら、いい点?」の項目で考えていきます。
A:【友だちに2人40点】(こども)・【○○ちゃんの英語、93点】(母親)
→ほかのお子さんに関する情報です。人のことより自分のことなのですが、その自分のことを知るためには、例えば平均点など外部の情報が必要なこともあります。「絶対評価は絶対?」で取りあげてみます。
B:【テスト前は遅くまで勉強した】【一生懸命頑張った】(子ども)
→勉強をしている状況についてです。上のキーワードは「事実」と「評価」が混じっています。ここに「内容」が加わると、ちょっと違った見方ができるようになります。「その勉強の内容は?」で勉強しましょう。
C:【テストで良い成績】【これから困ることになる】(母親)
→2つのキーワードが因果関係を持っています。ただ、この因果律はもう少し掘り下げないと正しく理解できないようです。この特集では、ここが一番難しい内容になるでしょう。「成績と進路の関係」で取りあげます。
ランク外:【人のことは言わないの】(母親)
→「自分が先に言っておきながら…」という思いはあるものの、その方の資質によるものですから、ここでは採りあげません。(と言うよりも、採りあげられません。)