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ある少年の残したメッセージから

ある少年の残したメッセージから…

 

もう、ずいぶんと前のことになります。かつてこのページと同じタイトルでグリーンメイトに特集を組んだことがありました。そこでとりあげたのは、ある一人の少年のことです。

 

その少年は純粋に物事と向き合って生きていました。たとえ、それが自分には心地よくないことであっても、みな自分の中に受け入れてきました。受け入れられた様々な思いは、多くの詩やエッセイとなって放たれてきました。

 

彼はもうこの世にはいません。二十歳を迎える前に旅立っていきました。彼がいなくなっても、彼が残していったものは時を超えて、今なお人々の心をとらえています。それが、ここでもう一度とりあげようと思った理由なのです。

 

まず、下の小学生の作文をお読み下さい。

 

「おかあさんの日の手紙」


おかあさんいつもごはんを作ってくれてありがとう。

ぼくは、おかあさんがうんでくれたからうれしかったです。

くるしかっただろうな。

はらをけってごめんね。

はやく生まれたかったからけったんだよ。

ぼくのためにそだててくれて

そだたなくてもおかあさんにあえただけでぼくはうれしいよ。

たとえ、いなくなってもゆうれいになってあえるだけですごくうれしいよ。

ながいきしてね。

 

 

 

これは*昨年8月、19才で病気で突然亡くなった少年が、小学校3年生の時に書いた作文です。彼は広島県世羅郡にお住まいの森田さんのお子さんで、真二君といいます。(*1998年のことです)

真ちゃんは小学校4年生の時にはこんな作文も書いています。

 

「大 地」

 

大地はないていました。

なぜかというと、

かわいい人間たちが大きいたてものやどうろや

いろいろな物をたててくるから、

大地のすみかがなくなっていくからです。

大地はいいました。

「かわいい人間たちよ。なぜわたしたち大地をこわしていくの。」

という言葉でした。

人間たちはやっと自分たちがかってなことをしているのにわかって、

大地は人間みんなをあいする親だとわかりました。

 

 

 

これを読んだ青葉の生徒は感動しました。そして、グリーン・メイトでも紹介させていただくことにしました。英語の教科書にものっている「地球の秘密」を書き残してこの世を去った坪田愛華ちゃんを知っている人は多いでしょうが、広島にもこのようなメッセージを残していった少年がいました。私たちは真ちゃんのメッセージから何を感じることができるでしょうか?

(グリーンメイト/1999年6月号より転載)

 

当時、森田真二君のことを掲載したグリーンメイトには、ほとんど解説など加えませんでした。彼が残した多くのメッセージに心動かされ、ほかの人たちにも伝えたいと思いながらも、駆け出しの学習塾の人間にとってそれは簡単なことではありませんでした。今なら、少し付け加えてみようかと思います。

 

その後、お母さまの森田秀子さんとはお会いする機会をいただき、今日まで交流が続いています。森田さんご夫妻からお聞きしたお話や、贈っていただいた遺詩集「宇宙の風に吹かれて」から真ちゃんの二つの思いが伝わってくるの感じました。

 

ひとつは、自分の愛するものを心から大切に思っていたこと。それは家族や自分の住む町であったり、自然であったり、もっと大きくこの地球(ほし)のことであり、愛するものの傷つくさまに対しては、心の底からの憂いを感じていたことでしょう。その純粋な心持ちは、日々の生活を上辺だけで交わす術を身につけていく周りとは相容れなかったかもしれません。それでも真ちゃんにとって、周りは責める対象ではなかったのです。

 

それともうひとつ、日々の出来事からその鋭い感性で受発信していた真ちゃんは、自分に与えられた時間が決して長くはないことを早くから察していたようです。軽々には語れないことなのですが、森田さんからお聞かせいただいたお話などから、どうもそのように思えます。それゆえ、限られた時間を精一杯生き抜いた真ちゃんの生き様に感動を覚える方たちが、時間を経て今なお多く現れてきているのではないでしょうか。

 

1990年、森田真二君が小学校5年生の時には、こんな作品も残していました。

 

「地球の命は、あとわずか」

 

地球に今、ききがせまってきているのです。そのわけは、地球のしぜんをこわし、川をよごしおまけに海もよごし魚がどんどん死んでいっている。とんぼも、前とくらべてものすごくへっていく。とんぼが死んでいくということは、ぼくたち人間もすめなくなるでしょう。

 

今の地球を救うには、この大自然が必要です。でも、その大自然もこわしていっている。この人間をたすけてくれる、ぜつたい必要なのがもう一つあります。それは、オゾンです。もしオゾンソウがなかったら、しがい線にあたって、皮ふガンとか病気になって死ぬでしょう。もし生きたとしても食べるものは一つも残りません。人間、食べる物がなかったら生きていけません。

 

1999年に地球が全めつすると一人のよげん者が言っています。ぼくは、それがあたるかはわからないけれど、おねえちゃんが言ってたんだけど、しがいせんがこの地球におりてくるのは10年。1989年に10年をたすと1999年になります。今は1990年だけどこの話は4年生のときに、聞いた話だから、よげんがあたるかと考えています。地球に、ききがせまっているのは確かです。

 

今の地球を救うには、みんなの協力が必要です。自然を守り川をきれいにして、海もきれいにすることです。こんなに地球があぶないというのに人間はなぜ協力しない。1999年では、ぼくたちはまだ、はたちです。20才ということはまだ、しょうらいのゆめもかなえていないくらいです。このよげんがあたるかは、わからないけど、このままではぜったい地球はほろびるでしょう。こんなのぜったいに、いやです。

 

 

 

 「19歳で旅だったあなたへ送る母の詩」作/森田秀子さん(真二君のお母さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これをお書きになられた、真二君のお母さんは、極めて現実的な人です。ご自身もご商売をなさっていて、世の中のことを良くご存じの賢明な方です。
生前、真ちゃんはいろいろないじめを受け、そして不登校となりました。でも、真ちゃんは一言も誰の悪口も言わなかったそうです。そしてご紹介したような作文や絵を、19歳の時病気で亡くなるまで次々と書き続けました。
お母さんも、真ちゃんの19年の生涯をすべて受け止めて、周りに向けて恨みがましいことを一言もおっしゃらない方です。
本稿が、読まれた方の何かのお役に立てれば幸いです。

(グリーンメイト/1999年6月号別冊より転載)

 

この記事を書いてからずいぶんと時間が経ちました。その間に世の中もずいぶんと変わってきました。真ちゃんが憂いたことは、現在にいたってその度合いを増してきています。「おかしいよ。おかしくなったね。今の世の中変だよ。何もかも狂ってきたよ。」10年前に発せられたこの言葉は、10年経った今の方がすんなりと受け入れられるような気もします。

 

このページは、これから加筆されていくことになるでしょう。かつての真ちゃんのように、周りに憂いを抱きながらも優しく生きている若者が現在いろいろな状況の中でいらっしゃることでしょう。そうした方たちに少しでも役立てるページに変えていければと思います。お読みいただいた方、ありがとうございました。また、このページでお会いしましょう。

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