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身近なQ&A

 

日頃の当館の中でのやりとりや、メールなどでいただくご質問やご相談の中には、多くの方に共通するものがあるようです。この頁では、それらのご質問・ご相談をQ&Aの形式にしてみました。お役に立てる部分があるようでしたら、ご参考になさって下さい。

 

 

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   子どもには無理をさせず学ばせたい
 

Q.高校生にもなると、勉強も難しくなって大変だと思うんです。しっかりと理解させてやりたいんですが、あんまり無理もさせたくありません。クラブにも入りたいようですし、負担にならないように勉強させて、それでももし難関校へ行く実力がつくようだったら、そうさせてやりたいんですが…(高校生・女子)

 

A.おっしゃっている内容を整理しますと、「子どもに負担はかけさせたくはないが、勉強は分かるようにさせたい」、つまり「苦労はさせたくないが、成果は出したい」と言うことになります。個々のご家庭には、それぞれお考えがありますし、そこは当館がむやみに踏み込む領域ではないとも理解しています。気になるのは、ひょっとして保護者の方がこのようにお考えになる背景に、全く思いもよらないことが関係してはいないか、ということです。

 

この場合、保護者の方に自分のお子さんを自分がガードしてあげよう、という意識が見え隠れしています。お子さんが困難に遭遇する前に、自分が不安の種を取り除いておいてあげたい、という気持ちを強く持っておられて、一見ただ思うままと受け取りがちなご要望には、実は聞き手とはかなり違うところの意識から出ている場合がありそうなのです。そこには、何かそうした気持ちが作り出される出来事があったのではないかと考えられます。つまり「不安の種を取り除けなかった」という出来事です。

 

その出来事は、個々の事情によって違ってきます。もしも勉強やスポーツ、あるいは学校生活の中の何かの場面で、親子共々傷つくような経験をされていたとすれば、それは後々まで尾を引いていることもありそうです。あまりいい言葉ではありませんが、そのような体験は「他人に対する不信感」を作り出す原因となっていて、場合によっては、それを親子で共有してしまうこともあるでしょう。

 

こうした背景が存在しているとしたら、保護者の方の思考の中心には、お子さんを自分がガードするという意識が大きく存在しがちです。つまり、外の環境に対して「この子は私が守ってあげなければ…」という思いが保護者の方の意識の中で大きな位置を占めているのでは、と推察されるのです。

 

家から一歩足を踏み出すと、なかなか安心感の持てない集団や組織の中で半日過ごさなければならないという思いがあって、それは一言では説明し辛い経験(例示することではないでしょうが、いじめなど)をされた方にとっては、そう簡単には変えられるものではないようです。気を許したがために辛い目にあった経験をされた方は、警戒心を解くことなく、張りつめた思いをいつも維持されているのでしょうが、その内面は表面からはなかなか見えません。

 

一般的な事例として申し上げますが、面談等でお子さんに向けて質問しても、すべて代わりに答えられる保護者の方がいらっしゃいます。それも的確で、実にお子さんのことをよく把握されての発言です。隣に座っているお子さんはじっとして保護者の発言をただ聞いているという図式ができているようです。その様子に保護者の方は、自分がお子さん守っている、という大事な役割を担っていると実感されているのかもしれません。

 

保護者の方が、ご自身で守りたいと願うお子さんに望まれることは、お子さんが安心して学び、健やかに成長していくということでしょう。そうであるならば、この望みを「現実のものに」していくことを、お聞きした側としても当然考えます。その前提に立って申し上げれば、懸念されることがいくつかあります。実はお気づきなのかもしれませんが、改めて確認してみます。

 

まず、お子さんが自分で自分のことを発言する力を育成する機会を損ねてはいないか、ということです。お子さんが、保護者の強固なシェルターで守られることが日常化していれば、保護者の方が不在の時はどうなるのでしょうか。その時に、もしお子さん自身が意見を求められたりすると、気持ちはシェルターを探し続け、もうそわそわして不安定、ということも現実に起こっているかもしれません。

 

もう一つは、保護者の方にはひょっとしたら不愉快で「余計なお世話」かもしれないことです。過剰な介入は控えますが、大切と思われることに簡潔に触れておきます。それは本当はお子さんが自分で思考し、自分で意思を伝えられるまで成長している場合に起こります。この時、お子さんは保護者の方の役割を察し、自分の思考・意思を心の奥に引っ込めて、保護者の方に依存する姿勢を示します。その方が周りが安定するからです。

 

この安定を維持するために、お子さんは子ども心に「演技」を伴うこともあり、かえって心のバランスが不安定になっていることも考えられます。これとて、お子さんの健やかな成長とはちょっと距離があるように思えます。このことの詳細を求められれば、その言わんとするところをお伝えしますが、それはお子さんの保護者の方のお気持ちをおもんばかっての行動と理解しています。

 

中・高校生の時期のお子さんは、依存心と自立心が同居していて、不安定な状況を示すことが多いと思います。必要なときに大人が手をさしのべることは必要なことですが、やがて、自立心の成長が加速をしていき依存心の割合が相対的に小さくなっていくのが一般的です。お子さんは、保護者の方が思っているよりも、困難にも対処できる精神力を成長させつつ育っていきます。お子さんの中にあるまだ見せていない潜在的な能力を信じてあげて、将来のことをいっしょに考えてあげてはいかがでしょうか。

 

 

クョスコニョ    [1] 
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