この質問に対する答は人によって違います。「100点だけがいい点」と言いきる人もいるでしょうし、「90点以上ならいい点かな…」と言う人もいるでしょう。もちろん「70点でもいい点だよ」という人もいます。つまり、人によってそれぞれにいい点の数字は違います。乱暴に言えば、普段使われるいい点の基準は感覚と言っていいかもしれません。それならば、だれもが納得できるいい点の基準というものはあるのでしょうか?…
こんなのはどうでしょうか。得点でいい点を決めるのではなく、順番でいい点を決めるというのは?…例えば10人がテストを受けて3番までに入った人の得点をいい点とするのです。ちょうどオリンピックのように、タイムや記録に関係なく上位3人には金・銀・銅のメダルが渡されます。これならば、いい点を取った人の人数はいつでも一定です。
実はこれは架空の話ではなく、実際に通知書をつける方法として採用されてきた方法です。相対評価といいます。10段階評価の通知書だと、100人いれば上位2人に「10」をつけ、次の5人に「9」をつけていく、という方法が実際に公立中学校で行われてきました。
「行われてきた」というのは現在は行われていないからです。広島県では、2002年度から相対評価で通知書を作成することをやめ、2005年度には高校入試からもその姿を消していきました。理由はいくつか考えられます。
@10や9のつく人数が決まっているように、1や2も決まった割合の人につけられる
→これだとやる気をなくしてしまう心配があります。
A右上表のように85点で1番になることもあれば、90点でも3番になれないことがある
→不公平感を感じる場面があったかもしれません。
こうして、全国の公立中学校から相対評価はなくなっていきました。その代わりに不備を埋めるべくして採用されたのが絶対評価です。この評価法は、現在なお採用されている方法です。そこで、次の項では絶対評価とはどんなものかを考えていきます。