前の項目で、中学校の通知書が相対評価から絶対評価に変わったことを書きました。この項目では絶対評価について少し詳しく触れることになります。でも、「ちょっと待って。」と思われる方がいるかもしれません。
確かこの項目は、準備編では平均点とか外の情報に関することとつながっていたはずです。それならば、
「他の人と比べて順番決めてたのが相対評価なんでしょ?」
「相対評価じゃなくなって絶対評価になったんだったら、人のことは気にしないで自分のことだけでいいんじゃない?」
と思われるかも知れません。その疑問にはこの項目でお答えしてみたいと思います。よろしければ、ごいっしょにお考え下さい。
絶対評価ではあらかじめ「10」や「9」をつける人数が決められていません。この特徴を使えば「がんばっている子は認める」ということができます。例えば、数学ではどうやっても30点しか取れなかった子が、がんばって50点を取ったら5段階評価で「5」をつけるということも可能なのです。これだと勉強が苦手なお子さんにも光をあてることができます。子どもさんたちのやる気にも関わってきます。これを相対的絶対評価と呼ぶことにしましょう。しかし、相対的絶対評価には難点があります。それは「説明責任」が果たしづらい、ということです。予想される質問をあげてみましょう。
「うちの子は中間・期末とも90点取っていたのに4がついて、何で50点だった子に5がつくんですか?」
「それは、50点取るまでに相当努力してがんばってたんです。」
「それじゃ、うちの子はがんばってなかったと言うんですか?」
(「でも、授業中騒いでいたし…」と思いながらも…)
「いえ、そういうわけではないんですけど…」
(この会話、あまり続けたくないのでこの辺まで…)
一例ではありますが、このように相対的絶対評価にも導入には困難が生じます。評価をする側の力量が問われることになるのです。およそ想像される導入後の状況を考えると、積極的にはなれなかったのかもしれません。そうして評価の方法は同じ絶対評価の名を持ちながら、内容の全然違う「完全絶対評価」が採用されることになり、今に至っています。
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