この項目は、子どもさんの勉強の場面に一番近い項目となります。主観も混じりやすい項目ですから、できるだけ手短にまとめます。しかし重要と思われるポイントはしっかりおさえますので、よくごらんになってみて下さい。
例えば、中間テストの3日前に2人の生徒さんにこう質問します。
「昨日は何時まで勉強しましたか?」
それに対してAくんは、
「ぼくは、がんばってきのう12時まで勉強したよ。」
もう1人のBさんは、
「私は、きのうは10時半までで勉強を終わりました。」
2人はそれぞれこう答えてくれました。
この会話でどんな判断ができるでしょうか?…結論から言えば何も判断できません。それは重要な要素が欠けているからです。
「何時から始めたのですか?」
という問いと、それに対する答です。
先のAくんが勉強を始めたのは11時から、という可能性もあります。こうしたケースは実例から拾うこともできます。勉強開始までに時間をつぶしてしまうものはテレビをはじめ、ゲーム・ケータイ…事欠くことのない状況です。そうなると彼の学習時間は正味1時間です。(本当はもっと少ないことでしょう。)一方のBさんは、テスト週間ですから学校から帰るのが早く、夕方5時から始めて7時まで、そして夕食・お風呂…をはさんで8時から10時半まで勉強をしていたら、彼女は4時間半の学習時間を確保していることになります。
がんばっているのはどちらなのかは歴然としていますが、「がんばって……」と自ら言っているのはAくんの方です。学習時間というはっきりとした「事実」と、それに対する自分の「評価」が普段の中では一致していないことが多いのです。でも、こうした不一致ならばテストの「結果」が返ってくれば気づきそうなものですが、それでも気づかずに通過できてしまう場合があるとしたらどうでしょうか?…もちろん本人の「勘違い」を指摘したいわけではないのです。これを客観的にお伝えするのは少し難しいのですが、キーワードをあげるなら勉強の「内容」です。
以下に、定期テストの前にする勉強の代表的なものをあげます。
@学校が配布するワーク等で、試験範囲の指定されたページをする。(いわゆる提出物)
→ボリュームを多くすれば、相当の学習時間を確保することができますが、個々の生徒に合わせた難易度の調整ができません。
A自分に合った試験範囲の問題・プリントをする
→自分に必要な学習を、問題・プリントを選んで行います。塾・家庭教師をご利用の場合は、必要な学習メニューを選択する作業は、先生が多くの場合行っています。
B量を多くこなすほど、高く評価してもらえるもの
→たくさんやるほど評価の高くなる提出課題があるとします。この場合、意識が「質」よりも「量」にいくことがあるかもしれません。(文字を大きくする、同じ漢字を繰り返し書く…)
C試験に「出る」ところの反復学習
→もちろん「出る」ところが分かればの話ですが、巧みな情報収集によって可能となれば、極めて「効率よく」学習することができます。
@とBには、背景に相対的絶対評価の観点、いや難しく言わなくても指導者の方の人間的暖かみを感じ取ることもできます。また、@からCの難点をあえてあげるならば、@Aの学習は、「与えられた学習」になりがちです。また、BCの学習は効率重視の観点を強くしすぎると、学習を「作業」と捉えてしまう恐れも考えられます。
いずれにしても、これらの学習を効率よく上手にこなして、「内容を上回る結果」を引き出すことが可能な状況もあると考えられます。