入試を終えたみなさん、おつかれさまでした。
昨日は「高校入学準備講座」の最終日でした。翌日が広島県公立高校合格発表の日です。選抜Tで内定を受けている生徒が主体の講座ですが、この日は「明日の結果待ち」の生徒も参加をしていました。よく来てくれましたね。
この子たちは、どんな状況設定であっても安心して見ていられます。案の定、授業の最後には明日結果発表の子に向けてみんなで「明日が良い日となりますように」とお祈りをしてくれました。そして、その日出席してしない他の仲間たちにも祈りの気持ちを向けてくれました。こうしたことが自然体で出来る子たちです。
そして、この日も予想外のエンデイングです。最後のあいさつを終えて教室を出ようとすると、ある生徒が「先生、向こう向いてて。」(本当は広島弁で「向いとって」でしたが…)と声をかけてきました。状況が分からないまま生徒と反対の方を向いているとしばらくして、「先生、もういいよー。」と言います。振り向くと、生徒全員が立ち上がってこっちに向いています。「先生、これは私たちからのプレゼントです。」と言って渡されたのが、上の写真の寄せ書きです。
一人ひとりのメッセージが全員分書かれています。いつの間に書いていたのでしょう?読むと涙腺のコントロールを弱くさせるようなことを書いてくれています。この段階では進路の未確定な子たちが感謝やお礼の言葉を書き添えてくれているのです。心が動かないわけがありません。いや、ここのところ心が揺れっぱなしのことが多いのです。
一日経った今日、各高校で合格発表がありました。結果から言えば青葉の生徒は全員志望校へ合格していました。みんな、おめでとう。心からお祝いします。みんなそれぞれ自分で決めた高校へ、自分の力で入学することを可能にしていきました。一人ひとりの顔を思い浮かべれば「この子がここまで頑張ったんだ。」と思い返します。また心が揺れてしまいます。
思えば入試の前、彼らに言い続けてきたことは「自分一人だとは思わないこと。一人では抱えきれない重圧も、みんながいれば支えられる。同じ学校を受ける子も仲間なんだから、みんなで助け合って全員でこの壁を乗り切ってほしい。」このようなことです。
およそ、この業界の「常識」からは反することかもしれません。あるいは「そんな言葉で受かれば苦労しない。現実は甘くない。」と非難されることだったかもしれません。それでも生徒には先の言葉を言い続けて、生徒たちはそれを守り続けて入試当日を迎えていきました。笑顔を絶やすことなく日々のカリキュラムを坦々とこなしていき、それに加えて一足先に入試を終えた子たちが側面からバックアップしていってくれました。
この子らの笑顔は上辺だけの薄いものではありませんでした。互いを信頼し深い絆で結ばれているから発せられる笑顔であって、本来「個人戦」である入試の場面も「団体戦」に変えて乗り切ってきました。一人ひとりの思いが集まって、それが臨界点を超えると思いがけないパワーが発生する、それは絵空事ではなく実際に実行できることであることを彼らは私たちに見せてくれたような気がします。
進路の決まった今、それぞれの生徒さんが喜びをかみしめていることでしょう。そして、やがてこれから進む学校での生活に思いを向け、いきいきとした学校生活を送っていかれることでしょう。そこには、願いかなわず違う進路へ歩み始める友人たちへの柔らかく暖かい思いをなくさないままで…。
昨日、保護者の方からメールをいただきました。お子さんの進路決定前の日に感謝の内容も含めてです。こちらが感謝するとともに身が引き締まりました。生徒さんからいただいた感動、保護者の方からいただいた感動、本当にもう感動だらけです。みんな「宝物」として受け取らせていただきました。本当にありがとうございました。
(08.3.13)