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ホームページを気を入れて作ってみると、「こんなにエネルギーを使うものか」と実感しました。ささやかなサイトに過ぎないのですが、それでもです。

このページは、特にテーマを設けず、その時々のことをちょっと息を抜いて書き込ませていただく、という制作者が休憩させていただく勝手なページです。申し訳ありません。

 

 

 

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   「論理」と「感情」
 

先頃、今年度の公立高校の入試結果が県の教育委員会から発表されました。選抜U(一般入試)の5教科平均点は100点満点に換算して53.2点(広島県は50点満点で採点されます。)この中で、数学の平均点はというと41.2点で断トツに低いです。この状態になって、はや5年以上になります。

 

この状態の要因の1つと思われるのが、「証明(説明)」という論理的文章で解答する分野です。公立入試では「説明」は文字式の分野から、「証明」は図形の分野からの出題で、例年それぞれが1題ずつ出題されるのがパターンとなっていますが、今回発表された県教委のデータでは、文字式分野の正答率が1.6%、図形分野の正答率が4.1%となっているのです。つまり2つの問題は、1000人受験して16人と41人しか正解を出していないということになります。

 

だけどこの分野、特別に難題を扱っているというわけではありません。例えば「偶数と偶数を足すと、何故必ず偶数になるのか?」とか、あるいは「三角形の3つの角を足すと、必ず180度になるのは何故?」…こんな感じです。一般的にもあたりまえのことを扱っているに過ぎないのです。ただ実際には、この「あたりまえ」過ぎることが意外と足かせになっているようにも思えます。ちょっと授業風に再現して記してみます。

 

先生「奇数と偶数を足すと、偶数と奇数のどっちになりますか?」

生徒「奇数!」

先生「そうですね、正解です。じゃあ、偶数と偶数を足すと…?」

生徒「偶数!」

先生「はい、そうです。…ところで、どうして偶数だと答えたのですか?」

生徒「(なにやらトーンがさっきまでと違うことを察知しながら)なんでって、先生だって正解って言ったじゃない。」

先生「先生が正解と言ったら正解になるんですか?」

生徒「だって2と4を足したって、6と8を足したって偶数になるじゃない!」

先生「それはその通りですが、それだとすべての偶数を足してみないといけないことになりませんか。」

生徒「(気持ちは、ちょっとケンカを売られた気分になっています。)えーっ、もう意味分からんし〜。じゃあ、どうやって答え言うん?」

 

ごらんの通り、この展開では生徒は思考よりも感情が前面に出てきます。落とし所を間違えると最悪の結末を迎えることにもなりますから、よほど気心の合ったクラスでないと、このような授業の展開は行わない方がいいかもしれません。いずれにしても、学ぶ側からしてみればこの単元は入り口の段階ですでに、短絡的に答にはたどり着かなく、その途中であれやこれやと言わなければマルももらえない、いわば「うっとうしい単元」と、とらえてしまっている可能性があるようです。その結果が上記の正答率となっているような気がします。

 

当然ながら、証明を学ぶことは感情を逆撫でするためではありません。むしろ、それは感情に因らず、あるいは話術の巧み加減などに因らず、誰がいつどこで語ったとしても、万人を納得させることのできる内容を語る(あるいは記す)ためのトレーニングであるとも言えそうです。テレビショッピングなどのそれとはちょっと違うようです。

 

それをちょっとだけ辛抱してマスターすることができれば、その先の奥行きが見えるようになり、当初描いていた「うっとうしさ」を払拭させることができて、しかも言葉を通じての人とのコミュニケーションを楽にしていく効用も実感できそうです。実はこれも証明を学ぶ目的の1つであると言っても良いかと思われます。

 

残念ながら、データで見る限りは9割以上の生徒さんが、この領域を十分習得しないまま高校へ進学していったことになりますから、中学の時にじっくりとやっておきたいこの分野のトレーニングは十分ではなかったということになってしまうでしょう。その背景は個々それぞれ事情が異なるでしょうけど、ひょっとすれば証明の理解を「後回し」にしてきた、あるいはされてきたということがあるのかもしれません。

 

それは、じっくりと手間をかけて取り組むことが必要なこの領域は、教える側にも教わる側にも楽ではないかもしれません。とりわけ入試に直面する生徒さんの立場からすれば、その気持ちは膨らむかもしれず、乱暴な言い方ですが「手っ取り早く」マルがもらえるところを重点的にやりたい、という心理が働くのかもしれません。それに対して、学習塾を含めた指導する人たちが、どう対応しているのか、あるいはどう対応すべきなのかなどと、ふと思った次第です。

(10.6.27)

クョスコニョ    [1] 
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