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ちょっと休憩室で…

 

 

ホームページを気を入れて作ってみると、「こんなにエネルギーを使うものか」と実感しました。ささやかなサイトに過ぎないのですが、それでもです。

このページは、特にテーマを設けず、その時々のことをちょっと息を抜いて書き込ませていただく、という制作者が休憩させていただく勝手なページです。申し訳ありません。

 

 

 

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   9月の卒業式
 

先日のこと、ある通信制高校サポート校の卒業式に出席してきました。当館の教え子が、この学校の卒業式を迎えました。この学校はこれまで当館とは面識のなかったのですが、担当の方が当館までお越しになり、ていねいにいろいろと説明して下さいました。そのようないきさつで卒業式にご招待いただき、喜んで出席させていただいたのです。

 

当館に在籍中のこの生徒には、はにかんだように小さく笑う仕草が印象に残っています。穏やかな性格で友だちとも仲良くやっていました。それでいてスポーツに打ち込む一面もあって、どう引っ張り出しても彼にいやな思い出は残っていません。そんな彼と会うのも3年ぶりです。どんな風に変わっているのだろうかと期待と緊張を伴って卒業式に参加しました。

 

会場は、この学校のある広島市内のビルの中の一室で、教室2つ分程度のその空間にはアットホームな雰囲気が感じられました。そこへ卒業生が入場してきました。3年ぶりに会う彼も入場してきました。背も高くなり、心なしか堂々とした様子に映りました。会場のサイドに設けられた来賓席から、卒業される生徒さんたちの様子を見させていただきました。その中で彼は式の間ずっと姿勢を崩すこともなく、しっかりと前を見ている姿に、この3年間の成長の一端をのぞかせてもらいました。

 

式を終えて、別室で自由に歓談のできる時間が設けられていました。あらちこらちからにぎやかな会話が聞こえる中、私も教え子の彼と彼のお母さんと会話をすることができました。彼が私に最初に言ってくれたことは「今日は、お越しいただいてありがとうございました。」と感謝の言葉でした。3年前と変わらぬ心優しい彼の姿を目にして、ちょっと心がグッとなりました。

 

ここへたどり着くまでの道のりは決して平坦ではなかったことでしょう。詳しくは書けませんが、県立高校から始まった彼の高校生活は長くは続きませんでした。その後いろいろと思い悩み、この学校へ入学し直したと聞きます。その経過の中では気持ちが不安定となったこともあるでしょう。そんな時に多くの人がぶつかる「自己否定」の壁。その高さゆえに、乗り越えを放棄した投げやりな行動。そしてますます自分に自信が持てなくなる負のスパイラルがいたるところで現実に起こっています。

 

でも彼と彼のご家族は、その負の連鎖を自らの力で断ち切りました。それが容易なことではなく、どれだけのエネルギーを費やすことになるか、おそらく当事者でなければ分からないような場面をいくつも通過されてきたのでしょう。当日ご卒業なさったどの生徒さんたちにも一人一人に違う背景があって、一人一人苦悩と向き合いながらもそれを乗り越えてこの日を迎えられたことでしょう。

 

当日校長先生もおっしゃっていたことですが、たくさん辛い体験をした人ほど人に優しくなれます。そして苦悩を味わった分だけ、そこを通過してみてにじみ出てくる、人に対する思いやりは深みのあるものに変わっていきます。教え子の彼が私に対して示してくれた思いやりのある言葉には深みが感じられました。心を打つ何かがあります。暖かい気持ちにしてくれた彼に私が感謝するばかりです。

 

彼が3年前の高校へ進学する頃、つまり私が頻繁に接していた頃、穏やかな性格で周りの人と接していたことは先に述べた通りです。何ら悪い印象も残ってなく、彼にエネルギーを吸い取られた(適切ではないのですが、一番近い表現です。)ような思い出もありません。それならば、周りに配慮を見せる彼が内面で迷いを抱えていたとしたら、その思いを吐き出す先が十分だったわけでなく、すでに自分の中で大きく膨らみかけていたのかもしれません。

 

その役割を十分に果たしきれず高校へ送り出した当館、いや私も未熟であると言わざるを得ません。それでも、彼は3年の時を経て卒業式へ招待してくれ、その場で感謝の言葉をかけてくれました。本当にありがたく思います。そして、そのことを軽く受けとめてはならない、とも強く思いました。

 

今、広島県には中学校卒業後の進路未決定者がおよそ500人ほどいるそうです。個々の事情はそれぞれ違うでしょうから軽々なことは言えませんが、中には中学校卒業後の進路選択を自ら放棄した人も少なからずいることでしょう。これまで高校入学後に現れてきた高い壁が、今や入学前に立ちはだかっています。自ら進む道を探し出す前に放棄することは残念ですし、若いエネルギーがもったいなくも感じます。

 

自らの未熟さを日々思い知らされながらも、少しでも若い人たちの何らかの手助けになれば、と日々を過ごしています。

 

(10.10.1)

 

クョスコニョ    [1] 
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