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ホームページを気を入れて作ってみると、「こんなにエネルギーを使うものか」と実感しました。ささやかなサイトに過ぎないのですが、それでもです。

このページは、特にテーマを設けず、その時々のことをちょっと息を抜いて書き込ませていただく、という制作者が休憩させていただく勝手なページです。申し訳ありません。

 

 

 

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   進路説明会で語ったこと
 

数日前、当館の中3生と保護者の方を対象として、高校入試へ向けた進路説明会を実施しました。当館周辺地域の中学校は、現在2学期期末テストの直前であり、合わせて各校では進路懇談会の真っ最中です。つい数週間前には、各校とも文化祭で慌ただしくされていたことでしょうが、今は全く異質の慌ただしさでイベントが進行しています。期末テストが終わってしばらくすると、各校で最終懇談会が実施されます。当館での説明会は、日程的にはギリギリながらタイムリーな時期での実施することができました。

 

進路説明会という名称からは、まさに入試の日程や制度の説明を主体としたものを連想されることでしょう。加えて、学習塾が拭い去れないイメージとして、進路決定までの道のりが平坦ではないことを、脅しのスパイスを効かせながら印象づけること、そしてその困難に対する最適の処方箋を、自分こそが提供できるということを誇張気味にアピールしている、などもあるかもしれません。さらにボルテージが上がれば、最後にみんなで拳を突き上げて「エイ、エイ、オー」…なんてこともイメージされているのかもしれませんね。

 

こうした、学習塾に向けられる画一的なイメージは、現実と照らし合わせてみると、どうもしっくりといきません。このようなイメージとは遠く距離を置いた立ち位置を明らかに示されている学習塾は、周りを見渡しても少なからず存在していらっしゃいます。当館とて同様の立ち位置を意識しながら活動をしている学習塾の隅には存在していると自認しています。

 

前置きはこのくらいにして、当館が進路説明会で語ったことについて書き進めていきます。そこで当館が言わんとしたことを最初に一言で申し上げますと、個々の生徒や保護者の方が望む進路の実現のための方策、ということになるのですが、これだけでは行き着く先が「エイ、エイ、オー」の類のもの思われてしまう恐れもありますので、途中の流れを平易にていねいに書き記してみます。

 

数年前の説明会では、入試を間近に控えた生徒たちの心理を、動物園でトラやライオンを見たいけれど、いざオリの前にやってくるとその迫力に気後れしてしまい、「本当は自分はそんなもの見たくなかったんだ」と自らに言い聞かせる、という例えで表したことがありました。同様の意図を今回の説明会でもお伝えしたいという思いで、会場の中に地球を模したビーチボールをつるして生徒や保護者の方に語りかけました。

 

今回もやや幼稚な例えではありますが、中3生たちにロケットに乗った宇宙パトロール隊になったイメージをしてもらいました。3年近くの任務を経て、いよいよ地球から帰還命令が個々の隊員に伝えられます。それぞれのロケットは帰還を楽しみに地球へと軌道を向けました。そして、地球が目前に近づくと、地球の表面には大気の層があり、そこを通過するのに機体が相当の高温を発生させることが不可避であることに気づきます。

 

それが目の前に突きつけられた実状と分かるや、隊員たちの何人かは大気圏への突入をためらいます。地球には着陸したいけれど機体が高温を発生させる場面は味わいたくない、という自己矛盾が表に現れます。地球に帰還するためにはなすべきことがあるように、中3生が高校生になるためにも「なすべきこと」があります。それならば、高校生に「なるため」の「なすべきこと」をあなたはやっていますか?という質問を生徒へ向けてみるのですが、はたして生徒たちの反応はいかがなものであったでしょうか?…

 

それは、言葉にすれば「無反応」というのが一番近いかもしれません。無反応というのは、耳に届いていない、というのではなく、耳に届かなかったことにして反応を示さない、という状況のようにも受けとめられます。耳に届かなかったことにしたいこととは、やはり耳にすれば心が揺れ動いてしまう、自分自身の内面に触れてしまうことなのでしょう。いずれ触れなければならないと思いながらも、できるだけ先延ばしにしたいという思いも見え隠れします。

 

そのような気持ちのままに行動することが、自分自身の不要な負担を軽くし、ひいては自分の将来の視界を広げることにつながっていくのならいいのでしょうが、そんなことで自分の内面が穏やかにはならないことは、生徒たちも薄々察しています。まさに、大気圏に突入する心の準備はできていないけれど、いつまでも周回軌道を回ってはいられないという思いが混ざり合っています。地表から上空一定の距離を周回し続けるためには、遠心力で外へ飛ばされないために秒速7qのスピードの維持が必要です。時速にすれば25200qです。それだけで相当エネルギーを使っています。疲れないわけがありません。

 

ふだん当館は中3生をはじめ、生徒たちとは良好な関係を保っています。良好というのは、ギスギスしていないと言っていいかもしれませんが、授業も笑顔で穏やかに進んでいます。きっとこれからもそうであろうと思います。それが、この説明会では入試の説明そのものより、生徒の内面に関わるところから話が進んでいったものですから、中には「もう、話さないで!」と叫んでいるのが聞こえてきそうな表情の生徒の様子もうかがえました。

 

それでも、どうしても触れておきたいことがあって話を進めました。今はデジタル全盛の社会です。テレビをはじめ、ケータイ、そしてDVDもみなデジタルです。生徒たちも毎日デジタルに触れ、その恩恵を与っています。デジタルは非連続の刹那の集合体ですから、すぐ隣もずっと向こうも同じです。DVDならスキップボタンを押せば、瞬時に「ずっと先」へ行くことができます。現在の画面が気に入らなければスキップ機能を使って、お気に入りの未来へも、居心地のよかった過去へも行くことができます。それでも、それは「仮想の時空間」の中、という前提です。

 

このデジタル感覚の浸透が、ともすれば現実の時空間に居ながらにして、好まない「今」からスキップボタンでジャンプすることができると錯覚させるというか、マヒさせることも可能にしているように思えることがあります。生徒が無反応を示しているときは、実はリモコンを握りしめて一生懸命心の中でスキップボタンを押し続けているようにも見受けられるのです。半ば無理だろうとは思いながらもボタンを押しています。それでも、同じようにボタンを押している人を近くに見つけると、「ひょっとしたらスキップできるかもしれないよね?」とのかすかな望みを、互いにメール等のやはりデジタル通信で確認し合い、不安を和らげます。

 

お読みいただいている方の中に、「本当にこんなことを進路の説明会で話したの?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。実際に説明会の中では、ここに記してきたこととほぼ同じ内容を語っています。自身で読み返してみても、ちょっと踏み込んでいるな、と思います。それでも、それを持って特定の方向へ強引に誘導するようなことは適切ではないし、そのようなことを行わないと鮮明な意識を持って語っていました。

 

先のデジタルの話に戻りますが、現実と仮想の境界線をデジタルを用いた時空間がぼかしている懸念があるものの、それは生徒たちが自ら考案したものではなく、いわば大人によって宛われたものです。生徒たちを非難するにはあたりません。大人とて、その普及が社会の向上につながるとして広めていったものでしょう。…きっと。誰かを批判の的にしたところで、何ら得るものはないでしょう。

 

冒頭に記したように、今回の進路説明会の目的は、「生徒や保護者の方が望む進路の実現のための方策」を確認することにありました。現状に目標の到達のために不足するものがあれば、どこに追加や修正をかけるかに目を向けることです。極々当たり前のことです。

 

それを、現状をそのままにしたまま、もっともらしい学習スキルの多用を推し進めることへ焦点を移し替えること、分かりやすく言えば、「勉強はしたくないけれど、短期間で成績が上がる方法」の説明に終始費やすようなことを学習塾の説明会と思われる方には、当館の説明会は方向違いな話であったでしょうが、幸い当館の説明会ではそのような様子をうかがうこともありませんでした。(補足ながら、もちろんデータの説明等もちゃんとやっているのです。)

 

長くなってきたので、そろそろまとめに入ります。名医と呼ばれる人は病名をあれこれと並べ立てて患者さんを不安にしたりはしないという話を聞いたことがあります。分野は違えど、学習塾の中にも名医たる町医者のような先生が身近にもいらっしゃいます。このような方は、およそ上記のような学習塾のイメージとは程遠いところに立ち位置を取り、実体をもって子どもさんたちに接しておられます。

 

当館も、同じような立ち位置を標榜しながら、今回の説明会では生徒たちに不安ということを相当想起させてしまったかもしれません。まだまだです。近々お仲間の先生たちと勉強会を行います。いろいろなことを学ばなければ、と思います。

 

嬉しいこともあります。先の説明会を機に「目が覚めた」生徒が現れてきたことです。自主的に毎日当館へやってきてはテスト勉強に励んでいます。明るい表情で勉強していますが、もう仮想空間の虚ろな笑いとは違っています。こちらも笑顔でしっかりと対応します。こうした変化が起こることが励みにもなります。本稿は、時間の合間を縫いながらの記載になり、一貫したものになっているか気になるところですが、その分何度も錬りながら書けたのではないかと思います。(もちろん、言い訳ではありません。)

(2011.11.21)

クョスコニョ    [1] 
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