小学校6年間で習う漢字は1006字あります。漢字の学習には「読み」と「書き」の2つがありますが、「読み」と「書き」を比べると、「書き」の定着の方が時間がかかるということから,2002年度から実施されている今の学習指導要領では、「読み」と「書き」で指導が少し違います。
「読み」の指導は、その学年が終了するまでに確実に読めるようにする、とされています。それに対して「書き」の指導は、次の学年が終了するまでに確実に書き、使えるよう指導することとなっています。つまり「書き」の方だけ2年という期間を使って覚えていく、というのが現状の指導方針です。
現行の学習指導要領実施以降、小学生児童の漢字習得の実態を把握する目的で実施された興味深い調査結果があります。以下の表・グラフは総合初等教育研究所が実施した調査結果に基づいて作成・掲載したものです。(掲載承諾済)
まず、下の「漢字の読み間違い/上位5」をごらんになればお分かりのように、各学年で「確実には読めていない」漢字が存在しています。その中には大人でも間違えそうなものから、知っておかないと日常で困りそうなものまで含まれています。小学生がどのような漢字でどのようにつまづいているのか、保護者の方など大人の方は、この現状を知っておかれた方がよさそうな気がします。決して興味本位で眺めるようなデータではないようです。
総合初等教育研究所/教育漢字の読み・書きの習得に関する調査と研究
【第3回調査 2003年実施】のデータより
ごらんの「読む」のデータには多くの課題が含まれていると思われます。さらに元のデータまでごらんになれば、例えば5年生で習った漢字は、もう1年たっても正答率は「ほぼ横ばい」で変わっていない、という詳細なことまで分かり、対応を考える手助けにもなります。
「読み」のデータだけを見ても多くのことが分かってきます。ところが「読み」よりも課題が多いと思われるのが「書き」です。下のグラフをごらんになるとお分かりでしょう。学年が上がるにつれて「書き」の正答率は下がっていきます。次のページでは「書き」について採り上げてみます。
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