2007年春から広島市の公立小・中学校のうち、およそ9割の小・中学校が2学期制を導入しています。「子どもの学力向上と豊かな人間性の育成」などを目的として掲げている2学期制ですが、いったいどのような制度なのでしょうか。
2学期制の大きな特徴としてよく採りあげられるのが、前期・後期ともに約100日と相当長い期間がとれるということです。そのため、「先生方が一人ひとりの子どもと向き合う時間が増える」「学校行事の時期が学校ごとで変更できて、特色ある学校づくりが進められる」などが利点してあげられます。しかし、実際の運用はどうなのでしょうか。今ひとつ分かりにくいところもあります。ここでは少し違った視点から2学期制について掘り下げてみます。
2学期制導入が広まっていったのは2002〜03年頃です。同じ頃に導入された制度のひとつに、「ゆとり教育」で話題になった2002年度からの「新指導要領完全実施」があげられます。それにともない、どんな変化が起こったかおさらいしてみます。まず、各学年とも従来より年間70時間の授業数の減少となりました。(小1だけ68時間)これは、年間35週授業を基準に設定して計算すると、70時間の減少は、70÷35=2で1週間あたり2時間ずつ授業数が減ったことになります。
2時間の削減に加わって、この時期から総合的学習の時間の一斉導入も行われました。この時間に各学年とも週3時間程度が当てられていますから、中学校での英数国理社の時間は、概ね週1時間程度削減されたことになります。
また、この時期から学校が完全に週5日になりました。つまり土曜日が毎週お休みとなったわけです。当然学校へ行く日数は減ることとなりました。現在、小中学校の年間授業日数は約200日ですが、学校週5日制導入前の1991年には約243日あり、当時と比べると、年間授業日数は2割弱減ったことになります。
授業日数が減ったことと2学期制にはどのような関係があるのでしょうか。まずは次の式をごらん下さい。
35×5=175(日)
175日という数字ですが、これは「1年間で授業に必要な日数」ということになります。下表のように各教科の授業時数は35の倍数を基準にして作られています。例えば70時間ならば週2時間、105時間ならば週3時間といった具合です。この35という数字に月曜から金曜までの5日をかけると年間の授業日数が出てきます。