■移行期間と先行実施
学習指導要領の改訂に際しては、必ず「移行措置の期間」という助走期間が設けられます。新しい制度は、スタートしていきなりトップスピードにはなりませんから、加速させる期間を必要とします。それが「移行期間」です。
これまでの移行期間に行われてきたことは「削減」です。各学年で学習内容が段階的に削減されてきました。「削減のための助走期間」を実感するのは難しい面もありますが、例えば「中2で学んだある単元が、中3になったら必要なくなった」などの整合性の悪さを生じさせないためには、移行期間に少しずつ削減していく必要性があったと言えます。
ところが、2009年度から始まった今回の移行期間には、これまでの移行期間とは反対の動きが起こっています。つまり学習内容が少しずつ追加されていくわけです。追加される学習内容を全面実施の年に先立って移行期間から実施するので「先行実施」と呼ばれています。先行実施期間は、小学校が2年間、中学校が3年間となります。
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■全面実施までのスケジュール
(上からの続きです)
上のスケジュール表をごらんになるとお分かりのように、当然ながら先行実施期間には、新指導要領に対応した教科書がまだ出来上がってはいません。そのため、現在は教科書の代用として「新指導要領の内容に係る補助教材」が配布され用いられています。
■2011年度に先行実施される学習内容の一例
●中学生
★…新しい内容 ●(○年〜)…○年から移行 ×…削除
○数学
1年
・数の集合と四則計算の可能性 ●<高校>
・不等式を用いた表現 ●<高校>
・図形の移動(平行移動・対称移動・回転移動) ●<高校>
・空間図形(球の表面積と体積) ●<高校>
・比例・反比例(関数関係の意味) ●<2年>
・数の集合と四則計算の可能性 ●<高校>
・ヒストグラムや代表値 ●<高校>