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気になる教育事情から

  新学習指導要領がスタート 完全実施へ向けて
 

(前のページからの続きです)

 

増加される授業時数と追加される学習内容の関係

今回の学習指導要領の改訂では、前回の改訂で大幅に削除された学習内容の復活が、先行実施の段階から実際に行われています。それは2頁でも記しましたように、学習内容が小学校・中学校ともに前回の改訂が行われた2002年より以前のボリュームに近い状況になります。それを「以前の状況に戻ります」と、まとめてもよさそうですが、一点だけ今回の改訂で以前の状態に戻せないことが1点あります。

 

それは「完全週休2日制」です。小・中学校に土日の休みが定着してずいぶんと期間が経ったと感じられる方も多くいらっしゃるでしょうが、実は週休2日制が完全実施となったのは2002年からです。まだ10年経っていないのです。つまり、前回の指導要領改訂以前の小・中学生は土曜日にも学校へ行って勉強していたのです。(月に2回だけ土曜日がお休みでした。)

 

以上から大まかに捉えれば、今回の学習指導要領改訂によって、学習内容は以前の状態に戻っていくけれど、学習時間(授業時数)は以前ほどには戻らない、ということになります。右下のグラフをごらん下さい。これは、小学校での2002年の授業時数と教科書ページ数をそれぞれ100とすると、それ以降ならびにこれからそれぞれがどのように推移していくかを表したものです。

 

授業時数を国算理社の主要教科で見ると、6年間合計で301時間の増加、割合にして110となります。全教科で見れば278時間の増加、割合にして105となります。(*今回の改訂で「総合的な学習の時間」が150時間の削減となりますので、全教科の増加時間数の方が少なくなります。)

 

一方、教科書のボリュームをページ数の割合の推移で見てみます。平均ページ数が国算理社の主要教科で50%増の150、全教科で見ても143と授業時数の増加割合を大きく上回っていることが分かります。なお、グラフ中に2006年度の値が挿入されていますが、この年には学習指導要領を変えずに教科書を改訂するという例外的な措置が行われました。まだ記憶に新しいところでしょうが、すでにこの時期から学習内容の増量傾向は始まっていたと言えましょう。

(下へ続きます)

 

 

資料1/内容等の取り扱いに関する共通的事項

 

1.第2章以下に示す各教科、道徳、外国語活動及び特別活動の内容に関する事項は、特に示す場合を除き、いずれの学校においても取り扱わなければならない。

 

2.学校において特に必要がある場合には、第2章以下に示していない内容を加えて指導することができる。

新学習指導要領(小学校) 総則/抜粋

 

資料2/教科書改善のポイント

 

教科書には発展学習や繰り返し学習など、児童生徒の理解の程度に応じた様々な工夫が取り入れられています。教科書に記述された内容をすべて教えなければならないものではなく、教員の創意工夫により、児童生徒の理解の程度に応じた教科の指導が行われるよう、新しい教科書を活用した教育を推進します。

パンフレット「生きる力」より

 

*太字は当館によるものです。

 

(上からの続きです)

 

新指導要領が全面実施になると

 

上のようなデータを見ますと、物理的にはどうしても増加される授業時数を追加される学習内容が上回るように映ります。小学校では、2011年度からが新指導要領の全面実施です。実際にはどのように学習が進められていくのでしょうか。ポイントとなりそうなところを確認しておきます。左上の資料をごらん下さい。

 

資料1は、小学校学習指導要領の総則の部分です。ここの読み取り方は、「この内容を全部やって下さい」というより「この内容は全員が共通して最低限やりましょう」として、新しい学習指導要領に記載されている内容を「最低基準」と捉えることが一般的となっています。ですから、学習内容を追加することも可能であり、その程度はそれぞれの現場の裁量に委ねられることを示していると言ってもよいでしょう。

 

資料2は、それを後押しするような記載がされています。こちらは文部科学省が発行したパンフレット「生きる力」の一部ですが、こちらでも「教科書を全部やりましょう」とは言っていません。両方を合わせて理解しますと、「新指導要領の内容は最低限、教科書やそれぞれの創意工夫で全部やりましょう」そして「一人一人の状況に応じて、それ以上のボリュームの学習も行っていきましょう」と、このような状況が想定されます。

 

ところで、実は前学習指導要領の総則の中にも、今回とほぼ同様の記載はされていました。つまり、2002年以降現在まで、小中学生はやはり指導要領の中身を「最低基準」として学習をしていたことになります。改訂の下地はすでにできつつあったとも言えます。それならば、今回の改訂で何が変わったのかとなりますが、それは「最低基準」自体のボリュームの大きさです。

 

おおまかに言えば、これまで「発展学習」とされていた内容が、これからは「発展」ではなくなります。そして、「これ以上の内容には踏み込まないで下さい」といった規定、いわゆる「歯止め規定」も原則として完全になくなります。つまり、正規にボリュームを大きくして、上限の設定もはずした学習内容を、様々な創意工夫でこなしていくのが今回の改訂のポイントのようで、地域や学校毎の、あるいはクラス毎の個々の対応がどうなっていくか注目されるところです。

 

【新学習指導要領/新指導要領の全面実施後についてのまとめ】

増加する授業時数と学習内容

 

●一見して、授業時数<学習内容

●教科書を含め、様々な創意工夫で弾力的に指導

クョスコニョ    [1] [2] [3] [4] 
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